2021/03/25 12:39


"The loneliness of a visionary is that you might be the only one in the universe at that time who recognizes magic. I’m a magical person, and so I recognize other magical people. It takes ones to know one." 

- Kim Fowley


10 IMPOSTERS / Inside My Head [1983 Dublab 7"]
Impostersの3rdシングルAサイドで、アルバムMaskでも冒頭を飾っているスマッシュヒット!415 Recordsからリリースされた1stシングル"Don't Get Mad"とMaskは比較的みかけるが、2nd"Night Time TV"と、この3rdシングルは意外と売ってないかも。Impostersのその他の音源は、VA/Rising Stars Of San Francisco収録の"Sounds On The Street"が粋なパワーポップでかなり良い。このWar Brideよりリリースされたコンピは"Push Ups / Play On"も収録されているので、この2曲だけの為に買っても損はない。また同コンピ収録のHolly Stantonが、本家より先にInside My HeadのカヴァーをTemptation LP(1981)に収録しているが、曲をつくっているのはImpostersのドラムJohnny Cambellである為、Impostersも録音は1981年に行うもWar Brideから出せず、Dublabからリリースしたのが1983年ではないかという仮説を立てているがどうだろう?情報求む!



11 JACK LEE / Sex [1985 Lolita 12"lp]
当初Nerves, Beat, Plimsouls, Jack Leeはあえて選外と決めていたが、Paul Collinsインタビューの中でこの曲について触れられており、聴きたくなって聴いていたら収録したくなってしまった。ご存知タイトル"Jack Lee"(2ndアルバム)より。同Lolitaより"Somebody Else To Love b/w Small World" 7"がリリースされているが、これが"Sex"のシングルカットだったら歴史が変わっていただろう。ちなみにお蔵入りになったTeengenerateの"Sex"カヴァーがあるらしい!録音が残っているなら是非聴いてみたい。最近Youtubeで、Jack Leeの1979年ライブが拝めるが、イギーポップを彷彿する肉体美を披露している。バックを務めるのは恐らくBuzz Click, Rod Firestone, Brandon MathesonのRubber City Rebels。上半身裸で、血管が切れそうな程に叫ぶJack Leeはいったい何に対して怒っているのだろうか。



12 JACK STACK A TRACK / Good Time Music [1975 Hot Lix 7"]
本名Jack Grochmaiは、Jonny Cash等のエンジニアとして知られる方のようで、Stack-A-Track Musicのオーナーということ。よってJack "Stack A Track"というわけだ。眩しいほどにギラギラしているサウンドがたまらない。Beach Boysライクなパワーポップでは最高峰だろう。1975年にHot Lixよりリリースされた本シングルは両面同曲のStereo/Monoしか見かけないが、翌年1976年にイギリスのChelseaからのリリースもあり、こちらはフリップが"Brother"というアコギから始まるポップンバラッドが聴ける。



14 NUMBERS / Close My Eyes [1983 Voxx 12"lp]
Greg Shawの偉業はBomp!だけに収まらず、その凄さを"Voxx"でも遺憾なく発揮している。特に感銘を受けたのはVoxx第一弾シングルが1971年にリリースされたイギリスのバンド"Rockin' Horse / Biggest Gossip In Town"のリイシューであったこと。まさにルーツオブパワーポップな内容に感動したものだ。そんなVoxxのリリースの中でとんでもないアルバムが一枚ある。"Numbers '64-'67"、一見60sのバンドと見紛うタイトル、裏ジャケ全面に細かく記載されたバイオグラフィー、ディスコグラフィー全て60sバンドの編集盤を装っているがこれがなんと全部ウソ。よくよく読むとEric Carmenが「このアルバムが私の人生を変えた。直ちに同水準の曲をかくことにトライし始めたんだ。結局All By Myselfまで成功は納められなかったけどね。」といったでっちあげストーリーばかり。そうとは知らずに60sコーナーに入れてるレコ屋もありそうだ。そして更に驚くのはこのアルバム全曲最高なのだ。ほとんどの曲がTutor兄弟の共作で、極上60sビートの楽曲と、80sパワーポップサウンドがミックスした完璧なポップンロールに仕上がっている。Love's Melody時期のSearchersに近い感触を覚える。兄弟バンド最強説がまたひとつ実証された。Voxxからのリリースで、パワーポップファンが一聴したら飛びつく内容にも関わらず、あまり話題に上がってこないのは何故だろう?Numbersは元々テキサス出身のようだが、Greg Shawが手紙をかいてLAに呼んだらしい。その卓説したセンスに惚れ惚れする。



16 PUSHUPS / Global Corporation [1979 Pop Up 7"]
このシングルはジャケットが2種存在する。白黒でメンバー写真の上に"PUSHUPS"の表記があり、裏がバンド名、曲名、メンバー名、電話番号でフォルドオーバースリーブと、もうひとつがバンド名表記なし、メンバーの背景がオレンジ色で色付けられており、裏がバンド名、曲名、録音スタジオ、エンジニア、アドレス等、詳細なインフォが記載され、袋綴じのものが存在する。Nerves同様、情報量が多い方が2ndプレスと予想されるが、念の為両方持っていたいところだ。収録したBサイド"Global Corporation"はノリの良いポップンロール。b/w Empty FacesはNew Waveぽい佳曲。Milk N Cookies, QuickファンにオススメPushupsのリリースはこの1枚のみで、前身Aurora Pushupsを含めるとシングル2枚。Aurora PushupsにはZolar XのZory Zenithが在籍。YoutubeにあるPlay OnのPVでシングルがターンテーブルでプレイされる映像があるが、恐らくシングルでのリリースはなし。既にImpostersレビューで触れたが、VA/Rising Stars Of San Franciscoに収録。そして2021年、待望のシングル両面+未発表音源がコンパイルされた編集盤LPがHozocよりリリースされたのは事件だ。



17 QUESTION? / Easy [1983 WarfRat 7"ep]

貴重なUS Neo Mod Killllller EP盤。WafrRatのリリース(Last, Point, Wednesday Week等)の中でも最高傑作であろうQuestion?のファーストシングル。3曲収録中Modも切れ味抜群なジャキっとしたギターが炸裂する"Easy"は、VA"This Is Mod #6"で初めて聴いた時から大のお気に入りだった。他リリースはもう1枚シングルと、VA/Wafr Rat Talesに"Brand New World"収録のみの様子。どの曲もクオリティー高いので他の音源があれば聴いてみたい。再結成ライブでもちゃんとリッケンバッカー&バイオリンベースというModルックで泣いた。



18 QUICK / Pretty Please [1978 Quick Fan Club 7"]
One Of My Fave La Powerpop!!!!!! タイトルIn Tune With Our Timeのbetaサイド "1. Pretty Please"。やはりこれだけは外せない。実質4分半近くあるにも関わらず、長いと感じたことがない程にスリリングでドラマチックな曲展開に、ハードでダイナミックな演奏、キラーでスイートなヴォーカル。必要な要素が全てが詰まったパーフェクトポップンロール!7"は裏ジャケalphaの下のクレジットに紙が貼ってあり、10"収録の"1. You Year You"が消されている。よってフリップは"2. Somewhere Over The Rainbow"の1曲のみで、ラベルは両面ともに真っ白なプレーン。10"はプレーンラベルにそれぞれbeta, alphaのスタンプが押されている模様。オーバーサイズスリーブ、ファンクラブメイドで200枚プレス。Steve Hufsteterの曲である為、彼がDickiesに加入してからセルフカヴァーしており勿論最高だが、個人的にはQuickヴァージョンに軍配が上がる。Redd Krossもカヴァーしている。2003年にBacchus Archivesより7"でリイシューされている。alphaサイドが10"収録の"1. You Year You"と"2. Somewhere〜"から"Jimmy Too Bad(名曲だがCD収録の別バージョンの方が格好良い)"に差し替えられている。メンバーはその後Great Buildings, Three O'Clockで活動する。LA Powerpop万歳!



19 RONNIE JAY / Berlin [1981 Trotte 7"]
今回あえて裏ジャケを器用したが、ギターを低く斜に構えるこのルックスを凝視せよ。ロングブーツに皮パンをイン。襟付きノースリーブシャツのボタンをあけた胸元からギャランドゥを覗かしている。左耳にピアスまで付けている。そして極めつけは頭にバンダナ。そして"Berlin"という表ジャケにドアップで写る高飛車そうな女性の名前を、熱く歌い上げる様はまさにパワーポップ界の"Boss"と呼びたい。が、ボスに失礼かもしれない。以上、少々馬鹿にしたようでいて、この曲はどうも嫌いになれないから困る。b/w"Call It Quit"は哀愁たっぷりで迫り、ハープまで披露しているが、どうも真剣に聴けないのはやはりルックスのせいだろうか。年代表記もジャケットには1981年、ラベルには1982,1983年とどれが何だかもうわからない。サンフランシスコにはとんでもないポップンローラーがいたものだ



20 SHAKE SHAKES / You Can Run [1979 Notown 7"]
Raspberriesなんかのメジャーバンドと比較すると当然ゴージャスさはなく、ショボめのトッポい録音なのだが、それがなお余計に沁みる、これぞグレートなパワーポップ。後半の"You Can Run"と連呼するパートにさしかかると涙なしには語れない。b/w"Who's Got My Baby?"は同じ人がつくってるとは思えないヘンテコな曲なので好みが分かれるだろう。ジャケットにもラベルにもバンドインフォはなく、辛うじてカリフォルニア出身という記述をネット上でみつけて今回の収録に至った。1981年に同レーベルよりもう一枚リリースがあり。



21 SPYS / Wish I Could Be Like Him [1980 Baroquen 7"]
同名の多いSpys中で、知る限り最もパワーポップなサンフランシスコ産Spysの恐らく唯一のシングル。Aサイド"Wish I Could Be Like Him"はシャキッとした小刻み良い演奏に、バッキングヴォーカルもバッチリ、ハンドクラップまで入っててニンマリ。あっという間に終わるので、繰り返し聴きたくなる名曲。b/w"Run And Hide"も決して派手さはないが水準以上の出来で全然悪くない。ジャケットもフォルドオーバースリーブで、広げるとミニポスター風になり相当格好良い。残念ながらバンドインフォが全然みつけられず、詳細がわからないが、安価で好内容なのでオススメの一枚。



22 STIV BATORS / I'll Be Alright [1979 (1992) Bomp (Munster) 7"]
アルバムDisconected時期にFrank Secich, Gergie Harrison, David Quintonという個人的に最強の布陣で録音され、Bomp!#129としてリリース予定だったが、当時はプロモオンリーのBomp! V/A Where The Action Isに収録されたのみで、アルバムにも収録されなかった"I'll Be Alright"はBators-Seicich作の幻の名曲である。1992年にMunsterよりリリースされた"I Wanna Be A Dead Boy(シングル4枚組Boxセット)"にて、シングルとしてジャケット付きでカットされ、ラベルには"BOMP 129/M"と刻まれていることに気づいたときは感動した。フリップの"I Stand Accused"はGloriesのカヴァーでノーザンソウルな原曲も良い。STIVのセンス半端ない。



23 TOASTERS / Stuck On You [1979 Bagel 7"]
Bomp! VA/Waves #2に抜群に疾走しているパワーポップ"Teenage Tease"が収録されており、そのバンドインフォにてこのシングルの存在を知る。聴いてのとおり、キーボードが心地良い60sフレーバーたっぷりのパワーポップ理想型で言う事なしだ。LAのクラブでも最高のライブをやっていたという記述があるが、いくらYoutubeを探してもみつからない。1982年にRCAからリリースの話があり、何ヵ月もデモ音源をレコーディングしたが、残念ながらリリースには至らなかった。キーボードでヴォーカルのMark Leeの楽曲のクオリティが高いだけに是非聴いてみたいものだ。その後ギターのBruce KaplanはTearjerkersに参加という記録があるが、LAにもTearjerkersがいたのだろうか?だとしたらパワーポップに違いない。



24 TOMMY ROCK / High School [1979 Mystery, Mushroom 7"]
本特集のタイトル"LA Powerpop Dream Rockers!"はBomp!のVA/Vampires From Outer Spaceに収録されているTommy Rockの"Dream Rocker"よりアイデアを頂いた。LA Powerpopを象徴する超名曲!!!が、なぜかシングル盤は存在しないようだ。。今回収録したのは同コンピにも収録のタイトル"High School"をあえてチョイス。これまた聴くといつもティーンな気持ちになるトミーロックならではのパーフェクトLAパワーポップそのものだ。Kim FowleyによってオーストラリアのMushroomレーベルより"High School b/w Dancing The Night Away (Bomp! VA/Waves #1収録)"がシングルカットされていることは意外と知られていない。 1978年にSparkよりリリースされたシングル"Is It Love? b/w It's Later Than You Think"や、VA/Vampires From Outer Spaceに収録されているRandy Winburnの"Somebody Else's Girl"と"Sunshine U.S.A."含め、ほとんどがTommy RockとKim Fowleyの共作でどれもこれも素晴らしい。Tommy Night名義のLPはAORぽい内容で全然良さがわからないが、ファンとして持っていたいところである。